特定技能2号 学習実態レポート(2026年7月)

発行:ずっとにほんではたらく(zuttonihon.jp)/調査期間:2026年6月29日〜7月26日(28日間)/出典明記で自由に引用いただけます。

この調査について

特定技能で働く外国人が「実際にどう試験勉強をしているか」を示すデータは、ほとんど公開されていません。受験者数や合格率は試験実施団体が公表しますが、学習の途中経過——どこで情報を探し、どこまで学習を続けるのか——は表に出てきません。

当サイトは特定技能2号 評価試験の対策問題を全11分野・約2,300問、やさしい日本語とベトナム語・インドネシア語・ミャンマー語の訳つきで無料公開しています。その利用ログから見えたことを月次でまとめて公開します。数字は自社サイト1件の実測値であり、業界全体を代表するものではありません。限界も併せて記載します。

要点

  1. 学習者の情報入手経路の15.5%がすでにAIアシスタント経由だった。検索エンジン(51.4%)に次ぐ規模。
  2. 10問クイズを始めた学習者の75.8%が最後まで解き切った。
  3. 実際に学習しているのは日本国内からが96.9%。閲覧は海外からもあるが、手を動かす学習は来日後に集中。
  4. 設問文をそのまま検索エンジンに貼り付けて答えを探す行動が観測された。

1. AIアシスタント経由が全体の15.5%

流入元 セッション 構成比 エンゲージメント率 平均滞在
検索エンジン(自然検索) 1,033 51.4% 75.9% 2分28秒
直接流入 611 30.4% 42.7% 1分56秒
AIアシスタント 311 15.5% 62.1% 1分17秒
その他(SNS・参照元等) 54 2.7%

注目すべきはAIアシスタント経由の質です。エンゲージメント率62.1%は直接流入(42.7%)を大きく上回り、目的を持って到達していることがうかがえます。

さらに、サイト内で意味のある行動(クイズ開始・資料ダウンロード等)に至った割合は、AIアシスタント経由が17.04%、自然検索が14.71%でした。AI経由の訪問者のほうが検索経由より行動に結びついています(なお直接流入は18.0%で最も高く、再訪者を多く含むためと考えられます)。

この結果が示すこと:日本語を母語としない学習者にとって、AIは「日本語の壁を越えて質問できる相手」として機能している可能性があります。制度や試験の情報提供を検索エンジン最適化だけで設計している事業者は、すでに6分の1の接点を見落としていることになります。

2. クイズ完走率は75.8%

指標 件数 実人数
クイズ開始 599 200人
クイズ完了 454 158人
完走率 75.8% 79.0%

一般的なウェブ上の多段階フォームやアンケートでは途中離脱が半数を超えることも珍しくありません。それに比べて4分の3が最後まで解き切るのは高い水準です。

この結果が示すこと:学習意欲そのものは高い。課題は「やる気を出させること」ではなく、教材にたどり着くまでの導線にあると考えられます。

3. 学習しているのは日本国内から96.9%

クイズを最後まで解いた454件の所在国は、日本が440件(96.9%)でした。残りはネパール・タイ・ウズベキスタン・インドネシア・ベトナムが各数件です。

一方、サイトの閲覧者全体(明らかな自動アクセスを除いた約1,250人)では、日本が約93%、インドネシア・ミャンマー・ベトナム・タイ・ネパールなどが続きます。滞在の質を見ると、ミャンマーからの訪問者はエンゲージメント率88.2%と全対象国で最も高く、ベトナムは77.8%、インドネシアは62.5%でした。人数は少ないものの、たどり着いた人は熱心に読んでいます。

この結果が示すこと:試験対策の「実行」は来日後に集中する一方、渡航前の層にはまだ情報が届いていません。母語での情報提供が届けば、この層が動く余地は大きいと考えられます。

4. 設問文をそのまま検索する行動

検索データを分析したところ、試験問題の設問文がそのまま検索クエリとして入力されている事例が確認できました。化学物質のリスクアセスメントに関する4択問題の全文が、選択肢を含めてそのまま検索されていました。学習者が問題を解いていて分からないとき、設問をコピーして検索窓に貼り付けている、という行動です。

この結果が示すこと:解説つきの問題を公開しておくことは、そのまま学習者の「詰まった瞬間」への接点になります。逆に、問題を有料の壁の内側に置く設計では、この瞬間に出会えません。

5. 無料教材の利用

28日間で、資料のダウンロードは191件(120人)、メール登録を伴うPDF問題集の申込は48件(43人)でした。学習はウェブ上で完結できる設計にし、PDFのダウンロードのみメール登録を求めています。「印刷して配りたい」という需要は、登録支援機関や日本語学校からの利用が中心と見られます。

今回公開を見送った項目

透明性のため、取得を試みたが公開を見送った項目と、その理由を記載します。

分野別の正答率・平均点。理由は2つあります。

第一に、分野を記録するパラメータの値が統一されていませんでした。日本語表記と英語表記に加え、記事タイトル由来のふりがなが混入した値(「漁業ぎょぎょう」など)が並存し、同じ分野が複数の名前で記録されていました。本レポート作成の過程で原因を特定し、記録方式を統一する修正を行っています。

第二に、標本が小さすぎます。直近7日間で設問に回答したのは13人、28日間でも54人にとどまります。この人数を分野別に分解すると1分野あたり数人となり、分野ごとの難易度を示す数字としては扱えません。

なお正誤の記録そのものは正常に機能しています。当初は全体の約22%しか記録されていないように見えましたが、これは分析用のカスタム定義を2026年7月17日に設定したためで、それ以前のデータには値が入らないという仕様によるものでした。設定以降の期間では100%記録されています。参考値として直近7日間の正答率は95.4%(正解272・不正解13)ですが、これは繰り返し学習している少数の利用者による結果であり、受験者全体の実力を示すものではありません。

調査方法と限界

データ取得:Google Analytics 4(自社サイト実測値)およびGoogle Search Console。2026年6月29日〜7月26日。

自動アクセスの除外:エンゲージメント率19.9%・平均滞在時間2秒という明らかな自動アクセス(1か国から301ユーザー)は、閲覧者の国別分析から除外しました。流入元やクイズの分析にはJavaScriptの実行を伴うため影響はほぼありません。

限界:本調査は1サイトの利用者に基づくものです。クイズ利用者は200人規模であり、統計的に十分な標本とはいえません。また当サイトの利用者は「無料のオンライン教材にたどり着ける層」に偏っており、特定技能で働く外国人全体を代表するものではありません。数値は傾向を示すものとしてお読みください。

引用について

本レポートの数値・図表は、出典を明記いただければ自由に引用・転載していただけます。許可の申請やご連絡は不要です。

出典表記の例

出典:ずっとにほんではたらく「特定技能2号 学習実態レポート(2026年7月)」

特定技能2号 学習実態レポート(2026年7月)
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次回以降で扱う予定の項目

計測を修正したうえで、分野別の正答率と平均点、母語別の学習傾向、学習の継続日数、試験日程との相関などを順次公開していきます。

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